
2-4. 家族への伝え方
どんなに完璧なリストを作っても、家族がその存在を知らなければ意味がありません。
ただし、「死んだときのために書いておいたから」と直接的に伝えるのは、気が重いものです。日常会話の中で、さりげなく伝える工夫をしてみましょう。
例えば:
- 「最近、デジタル終活っていうのが話題になっててね。私も○○銀行のネット口座使ってるから、エンディングノートに書いておいたよ」
- 「パスワード管理アプリを使い始めたんだけど、マスターパスワードは念のため、金庫の中のノートに書いておいたから」
- 「Facebookの追悼アカウント管理人に、あなたを指名したから。もし私に何かあったら、よろしくね」
また、信頼できる家族の一人には、エンディングノートや重要書類の保管場所を具体的に伝えておくことも大切です。
2-5. 死後事務委任契約という選択肢
遺言書には法的効力がありますが、実はデジタル資産の具体的な処理(アカウントの削除申請、データのダウンロードなど)については、遺言執行者でも対応が難しいケースがあります。
そこで有効なのが「死後事務委任契約」です。これは、自分が亡くなった後の具体的な事務手続きを、信頼できる人(家族、友人、行政書士などの専門家)に委任する契約です。
死後事務委任契約の中に、以下のような内容を盛り込むことができます:
- SNSアカウントの削除申請
- クラウドストレージからの写真・データのダウンロード
- サブスクリプションサービスの解約手続き
- ブログやウェブサイトの閉鎖または管理引き継ぎ
特に、相続人がデジタルに不慣れな高齢者である場合や、そもそも相続人がいない場合には、行政書士などの専門家に死後事務委任契約を結んでおくことを検討する価値があります。
2-6. デジタル資産は「今」から準備を
最後に、もう一度強調したいことがあります。
デジタル資産に関する法整備は、まだ十分ではありません。各サービスの利用規約も、今後変更される可能性があります。デジタル形式での遺言書作成についても、法制度が整備されつつある段階です。
しかし、だからこそ「今」準備を始めることが大切なのです。
法的に完璧な形でなくても構いません。まずは、自分がどんなデジタル資産を持っているかをリストアップすることから始めましょう。そして、それを家族に伝え、エンディングノートに記録しておく。それだけでも、いざというときに家族が困る度合いは大きく減ります。
形のない財産だからこそ、「見える化」しておくこと。それが、デジタル時代を生きる私たちの新しい責任なのかもしれません。
次の章では、もう一つの「デジタル遺言」、つまりデジタル形式で作成・保存される遺言書について、詳しく見ていきましょう。


