3.【デジタル遺言】デジタル形式で作成する遺言書(1)

デジタル遺言

3. デジタル形式で作成する遺言書


【3-1のコラムのポイント – 30秒で読む】

デジタル遺言書作成サービスは大きく3つのタイプがあります。
クラウド型サービス:三菱UFJ信託銀行「わたしの遺言」など、ブラウザ上で質問に答えて案文を作成。
スマホアプリ:「らくつぐ」(チャットボット形式)、「Husime.com」(音声入力・ブロックチェーン保管)、「AIユイゴン Well-B」(AI搭載、音声対応)など。無料で何度でも作り直し可能。
オンライン公正証書遺言:2025年10月から開始。一定要件を満たせば自宅からオンラインで公正証書遺言を作成可能に。電子データとして保管。

クラウド型サービスやスマホアプリはあくまで「案分作成」であり、このままでは法的効力がない点に注意が必要です。

前章では、デジタル資産を対象にした遺言について詳しく見てきました。ここからは、もう一つの「デジタル遺言」、つまりデジタル形式で作成・保存される遺言書について解説していきます。

「遺言書をスマホで作れる時代が来るなんて…」と思われるかもしれませんね。実際、その時代はもうすぐそこまで来ています。

3-1. デジタル遺言書作成サービスの種類

現在、日本ではどのようなデジタル遺言書作成サービスがあるのでしょうか。大きく分けて3つのタイプがあります。

クラウド型サービス

まず、インターネットブラウザ上で利用できるクラウド型のサービスです。

代表的なのが、三菱UFJ信託銀行が提供する「ネットではじめる!わたしの遺言」です。このサービスでは、画面の質問に答えながら入力していくことで、遺言書の案文イメージを無料で作成できます。エンディングノートアプリ「わが家ノート by MUFG」と連携して、財産情報を引き継ぐこともできる仕組みになっています。

入力した内容は利用者のパソコンやタブレットの端末に保存されるため、いつでも編集が可能です。ただし、あくまで「案文イメージ」の作成であり、このデータそのものに法的効力はありません。

スマホアプリ

次に、スマホやタブレットで利用できるアプリ型のサービスがあります。

「らくつぐ」は、司法書士法人N-firstが提供する無料の遺言アプリです。チャットボットの質問に画面タップで答えていくだけで、法律的に有効な遺言書の文面を作成するナビゲートをしてくれます。氏名や生年月日、家族構成、資産の分配の希望などを入力すると、短ければ数分で遺言書の作成に必要な情報が揃います。アプリ上での作り直しは何回でも無料で、ライフステージの変化に合わせて更新できるのが特徴です。

「Husime.com」のデジタル遺言書は、音声入力機能を備えています。音声で入力していくと自動でデジタル遺言書が出来上がり、さらにブロックチェーン技術で保管されるため、第三者による改ざんを防ぐことができます。スマートフォンが壊れても、なくなっても、作った遺言書は永遠に残るという仕組みです。

2025年8月にリリースされた「AIユイゴン Well-B」は、税理士法人レガシィが提供する最新のアプリです。AIチャット機能を搭載し、質問に答えるだけで遺言書の草案を生成してくれます。音声入力にも対応しており、キーボードが苦手な方でも話すだけでテキスト化できます。対話履歴は自動保存されるため、途中で中断しても後からゆっくり見返すことができます。

オンライン公正証書遺言サービス

そして、いよいよ本格的に始まるのが、オンラインでの公正証書遺言作成サービスです。

2025年10月1日から、公正証書の作成手続きがデジタル化されました。これにより、従来は公証役場に足を運ぶ必要があった公正証書遺言の作成が、一定の要件を満たせば自宅からオンラインで可能になったのです。

新制度では、公正証書の原本が電子データとして作成・保管されるようになりました。正本・謄本の交付方法も、データ提供と書面交付の両方から選択できるようになり、より柔軟になりました。

ただし、すべてのケースでリモート方式が認められるわけではありません。本人確認や真意確認の重要性は従来以上に重視され、機材の準備なども必要です。実際に、11月19日に私も電子化された遺言公証を体験してきましたが、まだ発展途上という印象です。

以上、3つのタイプを紹介しましたが、お手軽な「クラウド型サービス」「スマホアプリ」については、そのままでは法的な効力がありません。この問題点については後述します。

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