
2-3. デジタル資産を遺言に記載するときのポイント
それでは、実際にデジタル資産について遺言やエンディングノートに記載する際、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
まずは「資産リスト」を作成する
最も重要なのは、自分がどんなデジタル資産を持っているかを整理することです。
以下のような項目でリストを作成しましょう:
金融系
- ネット銀行の口座(銀行名、支店名、口座番号)
- ネット証券の口座(証券会社名、口座番号)
- 暗号資産取引所の口座(取引所名、保有している暗号資産の種類)
- 自己管理の暗号資産(ウォレットの場所、秘密鍵の保管場所)
- 電子マネー(サービス名、登録メールアドレス)
サブスクリプション
- 利用中の有料サービス(サービス名、月額料金)
- 決済方法(クレジットカード、銀行引き落としなど)
データ・アカウント
- クラウドストレージ(サービス名、登録メールアドレス)
- SNSアカウント(サービス名、アカウント名)
- メールアカウント(サービス名、メールアドレス)
- ブログ・ウェブサイト(URL、管理者アカウント情報)
デジタル機器
- スマートフォン(機種、電話番号)
- パソコン・タブレット(機種、保存場所)
セキュリティとのバランスを考える
ここで大きなジレンマが生じます。相続人がアクセスできるようにするには、IDやパスワードを残しておく必要がありますが、それらの情報を書面に書いておくことは、セキュリティ上のリスクを伴います。
いくつかの方法が考えられます:
方法1:紙に書いて金庫に保管 最もシンプルな方法です。ノートやエンディングノートに記載し、自宅の金庫や銀行の貸金庫に保管します。ただし、相続人が金庫を開けられることを前提とする必要があります。
方法2:パスワード管理アプリを活用 1Password、Bitwarden、LastPassなどのパスワード管理アプリを使い、そのマスターパスワードだけを信頼できる家族に伝えておく方法です。ただし、家族がそのアプリの存在と使い方を知っている必要があります。
方法3:二段階での開示 遺言書やエンディングノートには「何を持っているか」だけを記載し、具体的なパスワードは別の場所に保管しておく方法です。例えば、「暗号資産の秘密鍵は、○○銀行の貸金庫に保管」のように記載します。
方法4:専門サービスの活用 デジタル終活を支援するサービスも登場しています。これらのサービスでは、自分が亡くなったときに、指定した人にデジタル資産の情報を開示する仕組みを提供しています。
「何を」「どうしてほしいか」を明確に
デジタル資産のリストを作るだけでなく、それぞれについて「どう扱ってほしいか」も記載しておくことが大切です。
例えば:
- 「このSNSアカウントは削除してほしい」
- 「Google Driveの家族写真フォルダは、子どもたちに見てもらいたい」
- 「ブログは残してほしいが、新規投稿はしないでほしい」
- 「暗号資産は換金して、遺産として分配してほしい」
- 「サブスクリプションはすべて解約してほしい」
特にSNSアカウントについては、「残したいのか、削除したいのか」を明確にしておくことで、家族が迷わずに済みます。Facebookの追悼アカウント管理人を事前に指名しておくのも良い方法です。
定期的な見直しが不可欠
デジタル資産は、不動産や預金と違い、非常に流動性が高いのが特徴です。新しいサービスを使い始めたり、古いサービスを解約したり、パスワードを変更したりと、常に変化しています。
そのため、デジタル資産のリストは定期的(年に1回程度)に見直し、更新することが重要です。「エンディングノートは書いたけれど、5年前の情報のまま」では、せっかくの準備が意味を失ってしまいます。


